投資おすすめ本(その他)

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マネーマスターズ列伝―大投資家たちはこうして生まれた

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かなりお勧めの本です。著者は自身も投資家であり、グレアム派の一人である、ジョントレイン氏です(バフェット氏より年上です)。T・ロウ・プライス、ウォーレン・バフェット、ジョン・テンプルトン、リチャード・レインウォーター、ポール・キャボット、フィリップ・フィッシャー、ベンジャミン・グレアム、マーク・ライトバウン、ジョン・ネフ、ジュリアン・ロバートソン、ジム・ロジャーズ、ジョージ・ソロス、フィリップ・キャレー、マイケル・スタインハート、ラルフ・ワンガー、ロバート・ウィルソン、ピーター・リンチ、の17人について語られた本です。ジョントレイン氏からみた彼らのスタイルについて述べられているので、本人が出した本を読むだけの場合よりもより深い、または別の見方をできるようになります。とくにソロス氏については本人の出してる本が理解しずらいだけに助かります。Dシュワッガーのマーケットの魔術師と似た感じの本になっていますが、こちらは本にも書いてある通り、長期間にわたり投資を続けた十分な実力を備えた大物投資家ばかりでこちらのほうが良かったと思います。内容は実のあるものでした。ジョントレイン氏の主張するスタイルの一つとして、時代によってスタイル(成長株投資・割安株投資)を変えろということです。どのように割安株を探すか、成長株を探すかはたまた別の投資スタイルを用いるのかといったことが、いろんな投資スタイルを持つ上記17人について触れながら、知識を得ることができます。私個人としては、いろんな投資スタイルを見ることによって、自分で考えて投資することが大事だと感じましたし、多数の投資家がそれぞれ異なるスタイルを持ちながらも共通のスタイル、つまり投資原則があると感じました。この原則にさえ従っていれば恐れることはないと考えています。その内容については読んでいただいてつかんでもらいたいと思います。これまでは長期投資の勉強としてバフェット・グレアム・フィッシャー・ピーターリンチしか読んでいなかったので知識の幅の広さと、すべての投資家がここは守っている原則というものをつかめました。

ポーター教授「競争の戦略」入門

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MBA100人が選んだベスト経営書で一位の古典・名著「競争の戦略」の入門書。ハーバード大学で経済学を講義しながら、30歳代で正教授になったポーター教授が書いた経営者向けの本です。前半は業界の分析方法およびそれに対処するための戦略が書いてあります。ここは参考になると思います。ただバフェット本や投資関連の本を多数読んでいる方には当たり前と思えるようなことがほとんどです。後半は経営者が実践でどのように対応すべきかということが書かれています。ここまで踏み込んで理解し、企業の分析に生かすべきかどうかはまだ判りません。一般的に個人投資家は機関投資家よりも情報収集能力に劣る(経営者と話をするなど)と思われます。有価証券報告書など一般投資家に公開される大まかな情報ぐらいしか手に入らない状況ではこれらの知識があったところで生かせないかもしれません。

競争の戦略

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MBA100人が選んだベスト経営書で一位の古典・名著「競争の戦略」。大まかな流れとしては、業界を分析し、自社の長所短所を認識したうえで、いかにして自社を優位に持っていくかの戦略の立て方を書いています。経営者向けです。業界の競争要因を5つ(ファイブフォース)に分類することにより、業界分析を進めていきます。1章で業界分析をし、2章では分析に基づき優位に立つために取るべき3つの基本戦略を立てます。1コストのリーダーシップ、2差別化、3集中。いずれもバフェット関連本では良くでてくるキーワードですね。詳細は本を読んでいただくとして、1章の中に書いてあった、あえて紹介したい点を一部抜粋&要約します。「業界の基本構造は競争要因の強弱となって表れるが、無数の短期的要因とは区別しなければならない。たとえば景気変動、原材料供給不足、ストライキ、需要の一時的上昇など。企業はこの基本構造に基づいて戦略を立てなければならない」このように本書では景気変動は短期的な収益の変動要因とみなしています。それ以外の要因を「基本構造」と位置付けて分析していく内容の本です。長期投資家もこのような一時的な下げ要因が発生しているときには、潜在的かつ長期的にに優れた競争力を持つ企業を購入できる良いタイングとなります。バフェット本には頻繁に述べられています。「一時的な要因で下げたもの・長期的成長を失っていない企業のこうした下げは絶好の買いタイミングである」と。企業の基本構造を理解し、2010年のような不景気時に優れた企業を購入しておけばきっと報われることでしょう。3章は競争業者の分析方法についてですが、自社についての分析にも役立つと著者は述べています。もちろん投資家がどの企業に投資するべきかの分析にも役立つと思います。ただ調べる内容がかなり詳細な部分もあり、個人投資家には情報収集力にどうしても限界があることから役立たせるのは難しい思います。この章以降の内容を具体的に投資に役立たせるには直接従業員とあったり、社長と話をしたりができるような人に限られるでしょう。そういう意味では「超」成長株投資の著者でありバフェットの師匠の一人であるフィリップAフィッシャーのような徹底した企業分析を行いたい人向けでしょう。私も最終的にはこのレベルになりたいと思っているのですが、かなりの長い期間の経験や勉強を積み重ねなければいけませんし、運用資金数億単位でなければ経営者に会うなど無理でしょうね・・・。その他は8章の「業界の進展・変化」のところで製品ライフサイクル(企業のライフサイクル)における戦略などは理解していると投資にも役立つと思います。いわゆる導入期・成長期・成熟期・衰退期ですね。私の知っている著名な投資家はいずれもみな企業・業界が今どういった状態にあるのかを理解しています。

池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」

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マルクス『資本論』入門 (KAWADE道の手帖)の次に読みました。こちらのほうが明らかに入門者向けで「資本論」の理解に役立ってくれました。資本論というのは難しい内容のようですが、理論自体が難解というわけではなく、言い回し自体が(特に日本人には)分かりにくい書き方をしているようです。いきなり「資本論」に飛びつかず、この本を読んで正解です。大変面白くて最後まで一気に読んでしまいました。読んでいる途中で独特の口述のような文体からあのテレビによく出ている池上さんだと気付きました。私にとって大事なことは「今の社会は資本を持たない労働者はいくら頑張っても報われない」ということが書かれているということでした。無論圧倒的に秀でた能力を持てばその限りではないでしょうね。大リーグのイチローとか。(労働者かどうかは微妙ですが、資本家ではないですよね)可能ならばそんな圧倒的特殊能力が身につけれればいいのですがwまぁ今は今ある貯金を良い資本に回すことに専念したいと思います。この系統の本は上のマルクス『資本論』入門 (KAWADE道の手帖)にも書いたとおり、どういった企業に投資すべきかということに対するヒントは特にありません。投資の大事さを教えてくれます。これは社会に出る前、中学生くらいのときに読んでおきたい本ですね。中学校の時からこう言ったとことに目覚めておけばきっと違った人生が送れたことでしょう・・・。子供がもしできるなら自分の子供には絶対に読ませたい。

是川銀蔵 相場師一代

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面白さではお勧めランクAです。投資というランクからみてBにはしましたが、死ぬまでには一度読んでおきたい本です。もちろん早いほうがよいです。相場師というから仕手戦とか勝負をして株価をあれこれ操作してるような人かと思ってましたが全くの逆でした。むしろ株価を吊り上げ、一般投資家をだまして利益を上げるような連中を懲らしめるために勝負を挑み勝つ人物でした。この方の人生には本当に驚きましたし、すごいです。アマゾンでのレビューが少ないのは残念です。投資というよりかはビジネス本かもしれませんし、人生訓や自己啓発の部類かもしれません。名前だけは昔聞いたことがありました。どういう人物だったかまったく知らなかったんですがこんなすごい人とは・・。以下に抜粋と感想を入れますが、抜粋は頻繁に中略をしています。ご了承ください。
まずはまえがきから
「私が自伝をだすことは大勢の犠牲者を出すことになるという自戒から避けてきたのである。私の一代記を読み、人生を棒に振るような人が出てきては困る。株で成功することは不可能に近いという事実を伝える使命があるとおもい筆を執った。至極真面目に株というものを扱い、着実な方法で利殖をすればできないことはない。しかし巨万の富を得たいという目的でやったら必ず失敗する。これまで大相場師、大勝負師と言われる人はたくさん出てきた、しかし一人の例外もなくせいぜい続いて5年か4年。これが勝負師の運命なのである。」
いきなり否定から入ってくるとは度肝を抜かれました。
「実力以上のものをやれば戸惑い、不安心理が付きまとう。それが失敗につながるのである。」
バフェットも誰もかれも本物の投資家投機家は言います。実力以上のことにチャレンジしてはいけません。過度に不安になるようなことをしてはいけません。
「是川がああいうんだからと少々借金をしても大丈夫だろうと自分の実力以上の思惑に走ってしまう。こうした投資家が下げ相場でどういう心理状態になるものかよく知っている。いかに相場に熟練した投資家でも下げ相場での過程では不安にかられ持ちこたえられずに投げてしまう。事実私も何度かこうした心理状態の中で痛い目にあわされた。投げない限り実損はないのである。借金や信用はいかん。余剰資金で現物で買え。」
余剰資金でやれというのはよく聞く言葉である。ピーターリンチも言ってます。下げたところで売らされないためです。それだけじゃなく心理的な面もあるでしょう。誰もが自分の資金は大事でしょう。株式ではそれがあっさりと10%引き、20%引き、半額になったりします。大事なお金がなくなっていく!と考える人ほど不安にかられれ失敗するでしょう。確かにあなたが一生懸命に働いてやっと貯めたカネなのです。しかしこのような価格の激しい上下があるからこそ、株式投資家には債券投資に比べてリスクプレミアムを受け取ることができるのです。しかしバリュー投資家からすれば短期の価格の変動は気まぐれでしかありません。我々はそれを利用して安く買い、高く売るのであって、本質的な意味でのリスクではありません。ある意味で、短期的な動きはどうでもいい、「余剰の」資金を投入しておくだけで、あぶく銭を手に入れるゲームに参加させてもらっていますよというような気持ちで構えているというのは有効なことだと考えています。
「アメリカの経済が、財政赤字と国際収支の赤字を抱え、財政破綻が抜き差しならない。1986年には史上最高の赤字を記録、こうした経済収支の赤字の補てんは、日本やヨーロッパとくに西ドイツからの資本輸入つまり借金で賄うほかない。このため1985年には債務超過国に転落した。こんな借金国に誰がカネを貸すだろうか、米国債の購入は控えられ利回りは上がる。アメリカは輸入を続けられなくなり、日本も貿易黒字を続けられなくなる。したがって円高ドル安になる。アメリカ経済がパニックになれば日本も同じくパニックになる。通貨の価値はなくなるので、株を売ったカネで、金の地金を買っておけ。」
ほぼ今の状況2010年と同じです。唯一違うのは日本の財政赤字対GDP比のほうがアメリカよりはるかに高い点でしょうか。
「鉄鋼業界は造船不況とならび日本の構造不況の源となっており、航路の休止を余儀なくされ、新入社員の採用はストップ人員も削減され冬の時代。一般投資家はもちろん証券会社や株式評論家までもがそっぽを向くような底値で貼りついていた。こんな時期に私は買えるだけ買えと言った。その理由は円高・ドル安・金利安・原油安というトップメリットで内需が拡大し、必ず鉄鋼需要が増えると読んでいたことが、しかも考慮を休止したり、壊したり合理化を素据えている。合理化をやりながら増産することはできない。急死した航路に火を入れ、操業するまでには半年から1年はかかる、まして新設しようとしたら突貫工事でやっても鉄が出てくるまで2年はかかる。さらに熟練工を退職させてしまったため、思うように増産できないのである。こんなチャンスはそうしょっちゅうはない。10年に1度か5年に1度。」
2010年の今の状況にあってます。ピーターリンチ流にいえば、景気敏感株・市況株といったところでしょう。不景気には買っておくべき業種です。実際チャートを見てもらえばわかりますが、不景気時と好景気時には株価がかなりの差があります。鉄鋼業界の中で一番成績がいいのはJFEです。また株式評論家も相手にしないというのがいいですね。所詮「プロ」も株価が上がった時に騒ぎだして注目するんです。「本物」の投資家は違います。
「これだと思ったらどんな困難があってもやり通す。やっちゃいけないことはどんなに誘惑があっても手を出さない。」
「経済問題でも人の意見を聞くだけでは絶対に納得しない。本当にそうなのかを自分で分析し、確信があるところまでつきとめて、やっと納得する。自分でやらなければ、命から2番目に大切な大金を賭けて相場の思惑などとてもできるものではない。」
 この後関東大震災でのトタンの買占めの話が出てきます。横浜での自信の話から、東京もやばいとみて、すぐにトタンを買占めに走りました。彼は株屋ではなく商売人です。先の鉄鋼と言い、実際彼は鉄鋼の経営をしましたが、次に何が売れるか、世の中に何が必要なのかを知っているということです。ジムロジャーズも述べていますが、何の商品が売れるかということは結局どの株を買うかということにつながってくるのでそういう見かたが大事だということです。
 また本格的に株式市場に参入する前に極貧の中、3年間図書館に通って勉強したそうです。バフェットと同じです。経済関係の本やら産業・業界の資料等を読み漁ったそうです。
「資本主義は崩壊せず。マルクスもレーニンも理論に走り過ぎた。経済の実態を知らない。金融パニックも経済変動の一つにすぎない。それならばこれまで血みどろの努力で勉強し、体得したものを株式の世界で生かしてみようと決心した。」
図書館での勉強の末、当時の金融危機が資本主義体制の崩壊ではないと見た是銀は株式市場への本格参入を決めました。
「個人投資家の売買を見て思わずほくそ笑んでしまった。彼らの中には経済を科学的に分析して、相場を張る投資家はほとんどおらず、経済知識は極めて幼稚なのだ。彼らの意見を聞いてみると、せいぜい新聞記事がお師匠さん程度の内容しかない。だからみな単純な判断力しか持っていないのである。」
「図書館に3年間通い、日本と世界の経済を分析、商品動向を調べた結果のチャートや指数が頭の中にはびっしり叩きこまれている。毎日の新聞を見て3年後の経済の動向を推測し、それを背景に株の銘柄の業績を読んでいくのだ。」
「ニューヨーク連邦準備銀行が紙幣発行高と預金残高、金の保有高を発表していた。この統計を10年20年というレンジで取っており毎週見ている。アメリカの場合法律で正貨準備が紙幣発行額にたいして、40%を維持できなくなったら兌換を停止すると定められていた。アメリカの金本位停止で日本はパニックなると読んだ。40%に迫ってきた段階で、株を売った。ニューヨーク証券所は取引停止、日本では取引が行われなかった。結局金本位停止発表前の終値で取引が再開された。1円も儲からなかった。金本位停止を予想できたのは世界で私一人だけだっただろう。」
なぜ一人だけだったのだろうか?法律が一般に知られていなかったのか?それとも誰も先の3統計の推移に注目していなかったのだろうか?あるいはそれらすべてなのかもしれない。たしかに今でこそ歴史の事実ではあるが、当時は誰も金本位がまさか停止される自体が迫ってるとは思っていなかったのだろう。停止を担当するものは当然知っていたとは思われるが、それを事前に社会に警告するわけでもなく隠していた?金の裏付けがなくなりパニックになるのを恐れた?事前に警告していた場合、金の価格は強烈に上がったと思われる。
「このように国際経済の流れを体系的に比較し、資料を徹底的に分析した結果、そこから生じるであろう変化を先取りして判断を下していく。これが私の基本的な勉強法である」
「ニューヨーク、ロンドン、フランクフルト、のダウや銘柄相場、金銀銅等の非鉄金属相場と在庫、入出庫状況、為替、金利、少なくともこれだけは毎日必ず記録に取る。」「情報の中には嘘がある。これを見分けるのがプロだ。情報の発信源は誰か、誰が何の目的で持ってきたのか。海外の経済機関が発表する数字をそのまま伝えればよいが、特派員が講釈を付けてくることがある。自分の主観で数字を分析して予想まで立てた情報を流してくるのだ。これを日本の証券会社の調査機関は疑いもせず受け入れている。客は証券会社の持ってきた嘘の情報にのッかかって売買しているのである。私は違う。これは特派員が勝手に打ってきたとわかる。正しいか誤っているか判断する。その場の思いつきではしゃべらない。思いつきの相場観はまぐれで当たることはあっても、研究材料にはならないし、長続きしない。私は厳密に経済を分析した結果、相場の方向を発表している。相場を張るのは、賭けでもばくちでもない。ちゃんと実勢経済に裏打ちされた経済行為なのである。」
「海外主要国の財政計画予算の動向を分析していくうち、まじかに想像もできないようなことが迫ってきていることに気づいていた。」
太平洋戦争のことです。当時は日本の政府も気づいていなかったようです。
「自分で一度確信したことを、他人の横やりで曲げてしまうことは結局、研究、分析、判断がまだそこまで行きついていないということだ。」
「関東大震災でトタン板を買い集め大もうけした時もそうだった。人が気づかぬ所にいかに目を配り、人が気づく前にどれだけ早く行動しているか。買って、売って、休む。これが商売で成功する3筋道なのだ。これはまさに株で相場を張るのと同じ呼吸なのである。」
住友金属鉱山が捨てていたトタン板を買い、修理して売っていた時の話です。
「株式投資はちょうどうさぎとカメだ。ウサギは自分を過信しすぎて勝負を急ぐあまり途中で没落していく。一方カメは遅いようでもちゃんとゴールに入っている。じっくり時間をかけて買うことだ。カメ三則とは、1.銘柄は水面下にある優良なものを選んでじっと待つこと。2.経済・相場の動きからは目を離さず、自分で勉強する。3.過大な思惑はせず、手持ちの資金の中で行動する。」
「所得倍増計画による設備投資の増強で、全国各地に大工場地域の建設計画が立てられていた。地価は必ず暴騰すると読んでいた。今のうちに買えば数年後に大もうけできる。全国各地の大工業建設計画の資料を集め、検討。コンビナートの従業員2万人、さらに関連産業の進出を考えると堺市の人口は5万人増えるという分析。ベッドタウンが必要になる。地図を見ながら検討しモデルタウンを作って実際に自分の足で行ってみる。未開発の丘陵地に大規模なニュータウンができるなど誰も予想等するものはおらず。安く手に入った。昭和39年大阪府は私が買収した丘陵地に泉北ニュータウンを作るという構想計画を発表した。人口18万人と私の予想をはるかに上回る大規模なものだった。300円で買収した土地はあっという間に1500円になった。商売の道は一つなのである。不動産投資もまたカメ3則である。」
「不景気の時代、日本セメントの過去10年のチャートを見て、現在底値圏と判断。政府は失業者対策のため、てこ入れをする。土木事業を起こすと考えた。しかも日本セメントはセメントの材料となる石灰石の山を自分で所有していた。原料をいくらでも供給できる力も業界ナンバーワン。セメントは必ず暴騰する。」
「過去20年にわたり、非鉄金属の相場と需給の推移を調べていた。すでに銅価格が下落して3年余りがたっている。私は金属や鉱山開発といった事業に関わってきた。だから自分に合っていると思った。銅市況とLMEの在庫チャートを見ると、在庫過多から銅需要は沈滞していた。そのため銅鉱は閉山と休業が相次いでいた。再び操業するまで時間がかかる。戦争が起こればたちまち銅の在庫はなくなる。なんらかの理由で、在庫が減れば、銅の価格は一気に暴騰するに違いない。需要増にすぐに対応できるのは自社鉱山を持つ同和鉱業だ。同社は赤字で低迷していた。生産を再開するにはコストが高くつき、銅の市況で言うとトン当たり80万円以上の建値を1年以上続かなければ再開の機運は高まらない。同和鉱業は直営鉱山を持っており、そうコストは上がらない。」
自分のよく知っている分野で勝負しろというのはピーターリンチもバフェットも言ってます。銅の在庫が増え、閉山し、再び在庫が減って需要が高まってもすぐには生産できないというのはジムロジャーズの話と同じです。日本にこんなすごい人がいたとは全く思いもしませんでした。是銀は彼らより年は上です。現在は他界されていますが。「相場が急上昇するや当初の決心を変更して現場に逃避してしまったのだ。手じまいの鉄則を一貫させて入れば・・・」「相場は人の希望どおりにはいかず」「自己の内心の欲に釣られる。」「この手のことは何度も経験しているがまた引っかかってしまう。」「天井では欲に迷い、価値に乗じ、分限不相応の金額を買い重ねる。相場は本当に克服しがたい魔物なのだ。」「最初に決めた判断で満足するべきなのだ。欲にまどわされたり、もっともらしい理屈をこねたりせず、己の分を知ることだ。技法としての相場戦術にも限界がある。」
分相応な利益で満足する。私はグレアムの賢明なる投資家で「満足すべき」という言葉で自分の力をしってどこに利益の目標を置くべきかということが重要であることに初めて気づきました。世の中のほとんどの人は自分は株であっという間に数億という大金をつかむと思っているのではいでしょうか?もちろん必ずしも不可能なことではありませんし、夢を持つのは良いことですが、己の分をしっかりわきまえていなければ、儲けるどころか大金を失うでしょう。それなりの大金をつかむには相応の努力が必要なんです。
 ポーリングの結果高純度の金鉱脈のある可能性が発表された。しかしこの段階では住友金属鉱山の開発部長で博士号を持つ人でも「ある」とは断定できなかったが是銀にはできた。それは昔鉱山会社を経営するために、本を必死で読み漁っていたからだった。
「欲に釣られ、勝ちにおごっている中に相場が引き下げ、利がはげるだけでなく、売るべきものを買い乗せたりして動けなくなる。波動の性格が判断できぬところに新規出動することはギャンブル的行為であり、投資家のなすべきことではない。退陣して一休みするべきである。」
ちょうどシナジーマーケティングが暴騰しているさなかにこれを読んでいました。2倍程度までは、保持することを決めていたのですが、あまりの急騰に訳が分からない状態になり、さすがに数日で3倍になッたところで売りました。さまざまな可能性は考えられますが、一度保有分を外したほうがよいと考えました。
「売りは迅速、買いは悠然と言われるように、売りこそ大もうけできるかどうか勝負の分かれ目なのだ。何年に一度という絶好の買いをしても売り損ねれば元も子もない。売りが買いより難しいのは上限がわからず、人気に大きく左右されるからである。」
企業の業績を予想するのも難しいですが、人の人気というもののほうがよっぽど難しいです。気持ち一つでPERは何十倍にもなったり逆に数倍に落ちたりします。人気こそ株のすべてだというひともいます。確かにわからなくもないですが、いつ人気が出るかなどとどのようにわかるのでしょうか?バフェットが短期での株価の予想をしたりしないのはこのPERが何倍になるかがわかるはずもないからでしょう。人気というのは突然ほしがったり、売りたがったりするミスターマーケットの気まぐれな行為そのものです。
「不二家を取得した理由は、円高の影響と佐藤市況の暴落に伴う原料安メリットに着目したからだ。さらに店舗拡大計画。一等地の含み資産。週休二日制の定着による外食部門の成長。要するに業績がしっかりしているのに株価が追い付かず割安。」
「投資の鉄則その一。信用取引をするな。下がった時に早めに処分すればいいのだが、玄人筋でさえ難しいものを素人がスンナリ判断できるわけがあるまい。しかも証券会社のセールスマンはこういうときに頑張って持っている人が儲けるんです。これだけ下がってくれば、もう少し買い増ししておけば平均原価は安くなるし元の相場に戻ったら逆に利益が大きくなるという。こうして追加買いで誘われるうちに思惑の量が増えていくのである。たまたま思惑が当たり儲かって味をしめるた投資家ほどこの危険な取引に引っかかりやすい。」
買い増すかどうかは自分がその会社についてどの程度知っているかによります。平均原価を下げるために買うということが第一の理由に来ることはありません。それは下手な難ピン素寒貧というやつです。知らない会社ほどリスクが高いと見るべきです。つまり会社がリスクの高い低いにあるのではなくあなたの知識の量がリスクの高低を決めるのです。ドルコスト平均法を使いますが、その会社についてどこまで資金を注入するかという判断の範囲でしか買い増しはしないのです。つまり銘柄選択能力に優れていなければどんなに安く買っても、我慢しても報われないのです。
「投資の鉄則その2、新聞や雑誌で大見出しで報じられる材料に乗るな。だいたい人の意見にのッかかって利益を得ようとする精神そのものが失敗のもとだと言いたい。自分で努力をしない。虫がよすぎる。株の世界は甘くない。」
この辺はマネーマスターズ列伝にもありましたが、ニュースにならないようなニュースに注目するべきだとありました。たとえば今年は台風のニュースがない。台風が来ていないということはどこが儲かるかということを考える。人はセンセーショナルでショッキングな出来事に注目するがそれ以外には見向きもしない。実はそこに儲けの種がある。2006年当時もサブプライムローンの問題がちらほらニュースに出てはいたが、その時の記者か、プロかなにものかは忘れたが大したことはないだろう等というような結論でした。私も当時は非常に未熟で事の重大性には気づいていなかったのです。サブプライムローンで当時のニュースを検索してみればいろいろ出てくると思います。「新聞は「日経」一紙しか読んでいない。ここに出ている内外の経済現象を見ていれば、先行きの検討は付いてくる。これはある程度常識さえあれば誰でもできることだ。そして大筋で判断できれば、将来よくなる業界の会社の動きを四季報を参考にして調べる。会社の内容収益力等を比較してベストと思われる会社を買う。要するに2合目3合目ということだ。新聞の大見出しに乗った時にはすでに8・9合目なのだ。要するに上昇する余地は少ししかない。」
「株価には妥当な水準がある。深追いは禁物。株価は最終的に業績で決まる。腕力相場は敬遠する。不測の事態等リスクはつきものと心得る。これが投資人生のまとめ投資5カ条である。」
この本は是銀さんが95歳で亡くなる1年前に書かれたものです。まさに投資人生の集大成です。以上投資に関係する部分をまとめましたが、10代の頃の彼がすごいです。バフェットも10代で事業を行い、結構な儲けを出していましたが、こちらは中国で貨幣を集めインゴットにして日本に送るなどスケールのでかさはこちらのほうが上です。本当にすごいです。バフェットもジムロジャーズも驚嘆すると思います。子供のころ貧乏だったこともあって、豊臣秀吉にあこがれていたそうです。子供のころ貧乏で、お金の勉強をした人で金持ちになる人は多いですね。松下幸之助氏もそうですし。

オニールの相場師養成講座

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 バフェット・ピーターリンチと読んだらこれも読めみたいなことどこかで見たので読んでみた。ファンダとチャートを組み合わせてます。
 基本的にはジェシーリバモアの考え方を踏襲しているようです。ですが、ファンダ要素を入れていることで同じではありません。
 いくつか著者による理屈が述べられていますが、私には論理的とは思えませんでした。
 基本的な考え方ですが、下げてる時ではなく上げてるときに買う。下がりに下がって割安にみえる時ではなく、年初来の高値付近で買う。
超成功企業を予測するのにほとんど役に立たなかった、50年間の企業の簿価、配当株価収益率はほどほどにして、利益の伸び、値と出来高の動き、その企業が業界で最も利益をだしているかどうかという要素に注目する。とある。まず、過去の簿価・PERっていうのはたしかに将来の予測にはあまり使えない。フィッシャーは将来の利益が株価を決めると言っている。バフェットもピーターリンチも同じ考えだ。ただ値段と出来高というのは見ない。私に言わせれば、優れた企業がいずれかの時点で、年初来高値を付けて上昇するのは当たり前だし、そうでなければいつまでも株価は上がらないでしょう。新高値付けてから買うということにどれほど意味があるのか?いつ上がるか分からないものをもっていたくない?ピーターリンチは上がる時期というのは短い、だからタイミングを計るのではなく、持っているべきだと言ってる。たとえば2年で株価が2倍になった銘柄があるとしよう。実際にはその株価上昇のほとんどがある一定の短い期間に起きているという具合だ。オニールのテクニカルを使えばその短い一定期間をうまくとらえられるだって?実際はそう甘くはない。騙しがある。
 騙しについてこういう記述がある。「チャートと長く接していれば、あなたのスキルは上達する。騙しを見抜けるようになる。」チャート関係の本にたまにこういったことが書かれている。はっきり言っておかしい。チャート分析なんてものは誰が分析しても同じ答えしか出ないはずだ。出来高、あるラインを越えたか超えないか。誰がどう見たって出来高の数字は変わらないし、値段も変わらない。ある人に買いシグナルに見えて別の人に売りに見えるはずがない。使ってるチャート分析の方法が違うならまだしも、オニールのテクニカルでAさんとBさんがチャレンジして違う結果が出たらおかしいし、仮に出るようなら人によってはこの本を読んでも使える人と使えない人がでてくるということになる。騙されているんじゃないか?
 私が?と思った文章を紹介する。「知識不足からチャートを読むなんて茶葉で占うのと変わりないとバカにしている人もたくさんいる。だがそういう人たちは、ほとんどのすべての分野の専門家たちが、より良い判断を下すためにチャートを使っていることに気が付いていない。たとえばレントゲンやEKGやMRIなしに健康状態を自身をもって診断できる医者はいないだろう」レントゲンやMRIってチャートか?EKGは心電図のことだが、確かにチャートといえるが、医者がそれをどのように活用しているかはしらんが、それと株価チャートで将来予測することとどうつながるんだ?ソロスやジムロジャーズはチャートというか値動きをずっと追っている。ただしテクニカルメインではないし、どの国の債券が、為替が、商品が、株が、経済指標が、それぞれどう動いているかを見て、今後の方向が転換するものに狙いを定めていくのがやり方だ。
 またよくあるパターンなんだが、必ず都合のよいチャートを持ってきて、買いシグナルのサインが出てからこんなに上がってますよ、という流れになってる。極めつけはエンロンだ。エンロンの売りシグナルが出てから株価が無価値になったよすごいでしょというわけだ。株価が下がりだすと売りのシグナルが出るシステムならば、そこにエンロンをたとえに持ってくればそりゃ儲かる。それを「株価が下がりだしてこんなに割安になっても私には買うなんて考えられない」と書いている。笑わせてもらいました。そもそも利益の80%がデリバティブって本業がおろそかの企業買ってるようじゃ損をしても仕方がない。しかもバフェットに言わせれば、デリバティブは賭博。エンロン Wiki。おまけに事前経営陣のおかしな行動がわかっていればなおさらだ。バフェット氏が避ける5つの項目。こういう都合のいいチャートばかり持ってきているのではないか?巻末には私はCANSLIMでこんなに儲かりました的な、利用者の声みたいなのがたくさん。セミナー紹介など。
 CANSLIMは過去の株価の動きから作られてる。要するにシステムトレードだが、システムトレードは過去の状態に合うように作られるだけで、将来に適用すると使えないことが多い。カブロボあたりを探してくれたらわかる。ちなみに私も情報工学出身なので、エクセルと楽天RSSを使って自動売買システム作ったことある。2年かけて。実際に売買もした。数回売買しただけで、作り直しをしていたんだが、最終的に今のようなファンダメンタル1本になった。CANSLIMのパフォーマンスが乗せられている。CANSLIMにはいくつかバージョンがある。結局CANSLIMが作られた以前のデータからパフォーマンスがよい等と言われても、そんなシステムはいくらでも作れるのであって、将来にも有効かどうかとは別だ。ピーターリンチが言っていた鶏の鳴き声で株を買うか売るか決めているようなものだ。大暴落の前日に必ずなく鶏を探そうとしているようなものだな。そういう鶏が見つかったからと言ってこれから先大暴落の前に泣いてくれるとは限らない。要するに理論的根拠がどこにもない。偶然なだけだ。
 1929年前後に関して、「真の主導株-ほかの銘柄の2〜3倍以上値上がりする株-はピークに達したあと、平均で72%下落する。これは過去50年間われわれが主導株を調べた結果だ。」とある。その間企業の利益はどう動いていたのか?なぜ調べないのか?バフェットに言わせれば札を見ないでポーカーをするようなものだ。この話に何の意味があるのか分からない。この後の説明で下落した株は5年間元に戻らなかったとある。つまり?損切りをしないといけないと言いたいようだが、そもそもそんな高値で買ってる時点で投資家じゃない。
 また7〜8%で損切りすることのメリットを説いている。損切りが早くて利食いが倍の14%だったら、確率が同じなら確かに勝てるはずだ。だが確率については全く触れられていない。そして私の経験上、テクニカル分析が有利な確率で働くことはない。ほぼ5分5分だった。ただこれは短期だったからかもしれない。翌日に株価が?%上がるか下がるかというのを任意の日で統計を取っていくと正規分布になる。しかし優良企業について長期で取っていくと上がるほうに偏るのだろう。
 またどうしようもないことを書いている「多数の買い持ち方の長期投資家たちは、売りルールを持っていなかったために、2000〜2003年にかけて50〜75%を失った。」まず2000年の高値で買っていたらその時点で失格だ。また2003年にかけてたまたま?下がった例を持ち出して損をしていると言ってるのはどうだろう。ではオニールのシステムでは2003年にかけて売りシグナルが出たのだろうか、また逆に2000年の天井に向かってる途中で売りシグナルは出なかったのだろうか?
 「GEや3Mのような株を見つけれ場よいと考えるだろうが、きわめて例外であり、エンロンやワールドコムのような結末にになる可能性のほうが高い。」企業には寿命があって、確かに最後はダメことが多い。といってもエンロンやワールドコムは特殊。またチャートでなくとも悪いシグナルは出てる。
 さてここまで散々否定してきたが、ファンダメンタルの条件の部分はすべてまともだった。ピーターリンチやバフェットが条件としているものより数値がきびしい物が多い。ただし定性分析のような分析結果にブレや調査に時間がかかるようなことは含まれていない。ROEが?%一定以上とか、自社株買いとかそういったものだ。ここで言いたいのはこういう企業を買うのであれば、損切りルールなんていらないし、高値で買うルールもいらないんじゃないのではないか?そのまま買って持っていればいいんじゃないか?ということだ。テクニカルが有効かどうかは、持ち続けた場合比較してみる必要がある。ちなみに2010/10現在私のポートフォリオに8%で損切りルールを適用していたら、5銘柄全部ロスカットで終わってる。ところが損切りルールを企業の業績が悪くなった場合に限った私の方法では40%のリターンを得ている。
 ここにCANSLIMのパフォーマンスがある。CANSLIM.netIBD's CAN SLIM(R) Investing System Outperforms: +1521.7 vs. S&P 500 +54.92  ロイターの記事では2007年canslim.netでは2009年であり、この間にもかなりのパフォーマンスをあげている。空売りができるからだ。ちなみにバークシャーの1995年からのパフォーマンスは600%だった。つまりCANSLIMは優れているということだ。なぜこうなったか。売りができる点はもちろん。ファンダメンタルの基準自体も高いことが考えられる。ちなみにばEPS成長率が25%以上がその条件だが、これは私の見た限りでは日本の企業ではない。こういう企業はあっても小型の企業にしかなく、バフェットはある一定以上の規模の企業しか買わない。理由は運用資産が大きいからだろう。私は運用資産が小さいので小型企業に投資する。そのほかの理由として機関が目を付けないからだ。ろくな分析のできない人が売買しているから安値に放置される。これらの企業が成長し規模が大きくなってきた段階でやっと機関が買いに来る。なぜ機関が小さいうちに買ってこないのかはピーターリンチの本を読めばわかる。
 CANSLIMを使って売買しているブログとかあるか探してみたがないようだ。
 CANSLIMの本を売るんじゃなくて、CANSLIMを使ってシグナルが出た銘柄を推薦する商売を始めたらいいんじゃないかと思うんだが誰もしないんだろうか?
 以上を総合した自分の感想としては、これらテクニカルを導入しなかったところで損をすることはないだろう。だがファンダメンタル分析の部分は私の方法に非常に近いのでチャート分析が有効なのかはよい企業を見つけるたびに一応意識してみていく。また本当に有効かどうかを自分で検証するには時間がかかる。今ある銘柄を分析してみたが、テクニカルや8%損切りルールを入れないほうがましだった。他人がいくらうまくいくシステムだと言っても自分で検証してうまくいかなければ、私は導入しない。金儲けの話には役に立たない話がいっぱいある。それが見抜けないようでは株に手を出さないほうがいい。見抜く方法は論理的にかつ常識的に考えてまともな話が展開されているかということと、過去のデータから実証可能かということだ。印象に左右されてはいけない。

世紀の相場師ジェシー・リバモア

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時代はベンジャミングレアムよりもさらに古い時代の人です。人生で3回破産しそのたびに復活。4度目の破産後、最後は自殺したということで大変有名な方です。他の方のレビューでは非常に評価も高く読んでおられる方も多いようなのですが、私としては評価が低いです。まず著者が株式等の投資を行っていない小説家という点。彼の取引手法の評価が分かれている点。実際に彼の手法を知ったところで有効に働くのだろうか?という点です。以下に一部抜粋し感想も入れます。
「株式市場は変わらない。人の心が変わらず、人の心が市場を動かすとすれば市場もまたいつの世も変わらないのだ。」
ある意味では的を得ていますし同意できます。他人の評価でもこの言葉にされている方が多いですが、そうだとしてどうすれば利益に結び付くのか、これだけではわかりません。これは本書のテーマとしてあげられた3つのうちのひとつですが、小説家の書いた文章であって、リバモアの言葉ではありません。
「彼らはまるで無計画、行き当たりばったり、その日の気分で売買をしているとしか見えなかった。足場に一貫性がなく、感を頼って相場を張った。さしたる理由もなく並べた予想屋の推薦株にも容易に感心するし、まともな取引とは程遠いばくちだった。」
チョークボーイとしてまだ10代のころに働いていた際に大人を見た感想です。
「悪い2大感情、貪欲と恐怖だった。」
相場で失敗してしまう最大の原因だと思います。短期、長期、どのようなスタイルであれこの感情だけは捨て去らなければなりません。「勝つ条件が都合よくすべてそろっている場合に限られる。休みなく相場を相手に勝負し、勝ち続けるのは不可能であり、またそうすべきではない。」
テクニカルトレードしていた時に私も同じように感じました。
 子供時代にはバケットショップで取引を行っていました。10%逆の方向に動いたら自動的に手じまいさせられてしまうことから影響を受けて彼のその後のスタイルになりました。またバケットショップではその時の値段で約定するのですが、実際の市場ではだした注文では約定できなかったそうです。成り売りしかないということでしょうか?バケットショップは店との相対取引であり、本来の市場を通した、トレーダー同士の取引ではなかったため、約定価格に差ができなかったようです。彼が3回破産した原因はここでした。彼は値動きがすべてでもっとも正しいと考えました。値動きだけで売買を決め、バケットショップでは連勝でしたが、実際の市場(ニューヨーク)ではその手法が全く通用しなかったのです。ここで私の考察を述べますと、バケットショップでの売買は値段を動かしません。バケットショップでの売買の基準価格はニューヨークでの売買の価格が基準だからです。ところがニューヨークでは注文を出しても約定価格がずれるようです。そのため短期の売買手法は通用しなかった。あるいは開発されていなかったと思います。つまり超短期での株価の動きは非効率的に動いていたものと考えられます。たとえば一度株価がしたを向くとそこからしばらくの時間差をおいてからさらに下がり、上がるとその逆になる。これを利用して即時に注文を出してもニューヨークでは失敗するが、即時約定するバケットショップでは先んじてポジションをとれることにより、通用していたのだろうという具合です。世紀の相場師といいますが昔は案外大したことでなくても簡単に利益を上げることができたのだと思います。ただ現在でもそういうことが隠れていないともいえません。私自身ある単純な方法が使えるのではないかと思っていることが一つあります。「マーケットの魔術師」の中でもそういった今では考えられないような単純な手法が通用していたといった方法がいくつか紹介されています。
「スペキュレーターすなわち投機家というのは将来をじっとにらみ予想が現実化する前に行動を起こす人と定義してきた。3つの条件が必要になる。1つは当面の問題と情勢について正確な事実を把握しなければならない。2つは、これらの事態によってどのよう事態が持ち上がるか正確な判断を下さなければならない。3つめに適切な時期に行動を起こさなければならない。」
バーナード・バルークと言う人の言葉のようです。正確な事実を把握するというのが重要だと思います。思惑で売買している人がいますが事実に基づく行動のほうがリスクが少ないのでいいでしょう。バフェットも裁定取引のときなど思惑では動かず、事実のみで動くことにしています。思惑の段階で動いて、当たれば利益はでかいのは承知の上ですがそのような危険な予測を元に売買するのが投資だと思っている人が多いようですが、それは地に足が付いた成功への道とは程遠いと思います。
「リバモアは自分の間違いを常に客観的立場で考察した」
ソロスもバフェットも、ピーターリンチも同じことを言ってます。後でなんでこの取引をしたのかわかるようにメモを残せというのがいずれも共通している点です。
「極秘情報、値上がり確実とささやく情報屋は一獲千金の鉱脈の入口に立ちはだかりけちな商品を売り付ける。連中がカモにするのは主として新参者で言葉巧みに限定情報を押しつける。楽して儲けろというのが彼らの売りである。」
いうまでもないですが、こういうものに引っかからないようにしてください。世の中金のことになると人をだましてでも儲けたい人が意外にたくさんいます。毎日儲かっているかのようにブログ等を書いている人がいますが裏が取れないようなところを何度真剣に見ても何も学びとれることはありませんよ。彼らはあなたの欲望に付け込んで儲けようとしているだけです。最初に言いましたが、欲望と恐怖はすべての失敗のもとです。ここまで読んでおられる方でそういうのに引っかかる人はいないと思いますが。
 リバモアは不正な取引も行っていました。もともとバケットショップでの取引自体違法なのですが。バケットショップで値段の動いていない株を買い、ニューヨークで注文を出して株価を動かし、バケットショップで利益を確定するという方法です。今では使えない手法ですね。
「もっとも少ない抵抗ラインを選ぶことである。つまり上昇トレンドか下降トレンドか、もみ合いか。」
彼は典型的なトレンドフォロワーでした。
「動きを期待して待つのはばくちであり、忍耐強く待ちシグナルを見出した瞬間するのが投資・投機である。」
 すべてに同意はしかねます。リンチもバフェットも安い値段でいい株を買えばあとは待ちます。シグナルを探して入るというのは現在ではソロスに似ています。そういうシグナルがわかるならば私もぜひそうやって儲かりたいものですが、実際にはそう簡単にうまくいかないんですよ。シグナルって何なんでしょうか?この手のシグナルという人のシグナルを学んだところでなにかあいまいだったり、実際使えなかったり、シグナル自体教える気もなかったりで結局は役に立たないんですよね。だから最初のほうでも言いましたが彼の手法は評価が分かれているんです。
「市場を相手に行動を起こすには、まず相場の全体の流れがどちらに向いているかを見る。その流れがどう終わるかも読む。購入した株は売るだけの十分な理由が生じない限り売ってはならない」
典型的なトレンドフォローですが、わかったようでわからない文章です。全体の流れを読むというのは具体的にどうやってやるのでしょうか?その流れがどう終わるか読むってどう読むんでしょうか?売るだけの十分な理由ってどういうものなのでしょうか?もっともらしく聞こえますが実はよくわかりません。またこの本の悪いとこですが、この文章を書いてるのが「小説家」である著者なのかリバモア自信なのかがいまいちはっきりしません。ただの小説家のもっともらしい説明だとしたらこれを読んでわかった気になったとしたら見事に失敗です。
「リバモアはカモにされやすい新参者について考えた。1つは無知もうまいの道楽者。自分は無知だと知っている。もって3か月から30カ月。2つは準道楽者。初心者は卒業しているが、自分と似たり寄ったりのおろか者から情報を仕入れている連中である。また盛んに相場の格言、大物相場師の名言等を口にする。さほど頭が悪くないようだから3年半ほどは生きながらえれる。3つめはもっともましな連中で割安株を狙って仕込み反騰を待つタイプ、悪くはないが、二度と反騰しない株、さらに値を下げていく株をつかむとそれで終わり」2つ目についてですが、アドバイスを受けるべき相手と言うのは重要だと思います。特に肩書に騙されないでください。証券会社の人間。株のプロだとかアドバイザーだとか肩書を持ちながら株取引で生活の種を稼いでいない人。実はただの素人と実際はそうレベルは変わらないでしょう。投資の利益で食っている人間とは絶対に超えられない壁があると言い切ります。相場の格言もだめです。中には良いものもありますが、これもわかったようでわからないようなあるいは笑い話のような格言がいっぱいあります。また大物相場師の名言には深い意味が込められているのに短い文章ゆえに、勘違いして理解しているような人がたくさんいます。そういった勘違いをしないようにどういった流れでそういう名言が出たのかというのはきちんと調べていく必要があります。割安株については確かにあることです。ただこれは一般人が割安と称して飛びついて失敗する典型パターンのことであってグレアムを彼らと同一視するのは愚かなことです。
 本書ではたびたび「相場師の勘」が登場してきます。なにか「かっこいい」んでしょうが、勘で売買して勝てると安易に思わないように。真剣に相場と向き合って、ずっと売買していれば勘が養えるとも思わないほうがいいでしょう。仮に養えたとしてもそのころにはすっかり種がなくなってます。せめてやるならバーチャでどうぞ。今ならFXのバーチャがリアルタイムで売買できるようになりました。
「1万株を購入するとしよう。まずは20%を打診買いする。株価が下がった時持ち続けるか、手じまうか判断する。10%以上の下落では持ち続けない。1%上昇した場合、また20%分を買い増しするのである。ここでわずかながら利益が実現される。さらに株価が上昇3%上昇したときにも20%を購入する。」
ここでわずかながら利益が実現されるの意味がわからない・・。含み益が実現利益なのだろうか??そういえば、含み損を損だという意見をネットでは見かけるが、ならば含み益は利益だと思っているのだろうか。仮に含み益を利益ではなく、含み損を損だという考えの持ち主であれば、ロスカットは早く、利益確定も早くという考えを持ちがちである。つまり短期売買思考へ突っ走るのだ。これまでの読書や経験での私の意見では利益はのばせられるだけ伸ばすべきであり、損切りは早くだ。ただし損切りのルールはファンダメンタル投資とその他では異なる。タイミングを重視しないファンダメンタル投資であれば株価が大きく下落しても損切りはしない。バフェットは50%の株価の下落であわてているようでは投資には向いていないという。話はそれたが、この打診買いについて疑問がある。仮にほぼ100%買いを入れ終わった後に10%下落したらどうなるのか。それで損切りを繰り返して勝てるのか。勝てるという理論的根拠はない。ただ失敗する人の典型パターンである、損切りが遅い、利食いは早いという行動の逆であるから勝つ可能性が高いといった程度だと思う。実際私はこれで1、2か月トレードしていたが、得もなく損もなくの状態でした。おそらくこれをしばらく続けていれば波に乗れた段階で利益が伸びるのだろうという雰囲気は感じ取ったが、長期保有で利益を目指すならば、成長株の割安投資がその理論的根拠もしっかりしているし、投資手法も明確になっているし、過去の企業実績から将来の状態を見通すことも不可能だと信じ切っている人もいるが実はそうではない。そういうことを言ってる人は何も勉強していないし、調べる気すら起こさない怠け者だ。しっかり資産を気付いたいのであれば「投資」を学んだほうが実りがあるだろう。学ぶのには相当時間がかかるが、だからこそ価値があるのだ。また話はそれてしまったが、打診買いの利点はまずドルコスト平均法に近いことだろうか。あるタイミングで一度に買わないということは、市場全体の値上がり、値下がりと言う市場リスクの軽減に役立つ。また早めのタイミングで10%以上下落をすれば、少ない額の損切りで済むからだろう。しかし早いタイミングで下落するか遅いタイミングで下落するのかは分からないはずだし、平均すると中間のタイミングで下落するだろうが、10%の下落と10%の上昇も同じ確率で発生するのであれば、この打診買いというのは意味があるのか疑問である。またこの打診買いをする理由について、本書ではまずは様子を見るためだと「だけ」言っている。様子を見るためならば株価を見ていればいいのであって、買わなければならない理由がわからない。ネット上でも割と頻繁に「様子見・打診買い」等と称してこの手事をする人をよく見かけるが、いつもそのたびに私は「意味がわからない」と思う。また別の悪い理由として、10%下落後上昇するということがある。実際リバモアはこれで何度か失敗している。「調子が悪い」とこうなるようだが、そもそも投資手法の理論的根拠が薄いために「調子のよい悪い」はただの偶然の可能性がある。
「株取引の鉄則を体得した。第一に市場全体の流れ方向を見定める。第二に打診買いをする。第三に相場に材料が見えてから行動に映る。それまで忍耐強く待つこと。大儲けができるのは相場が大きく動く時であること。」
これからわかることは、彼はいわゆるデイトレードやスイングと言った短期売買をしていないということである。本書の印象から1年前後のようだ。ただこの説明だけではほとんど詳細が分かりません。この鉄則を知ったところで実際には役立たない。
「綿花リバモア買占めニュースで急上昇後、リバモア早期利食い利食い。この手法は彼のトレードマークになった。すなわち、予期せぬ幸運では、利益を伸ばそうとせず早めに利食いが彼の鉄則である。」
まぁ要するにずるい手法ですよね。使える人は限られる。また文章の書き方が悪いのか「予期せぬ幸運=利食い」が彼の鉄則かのような説明になっている。しかし幸運の内容にもよるはずだ。たしかにこの手の提灯買いで急上昇なのであれば、すぐに利食いと言うのは悪くはないが。
「リバモアが唯一重視するのは、市場そのものの動きであり、市場で生起する事実であった。綿産業の基幹部分ではない。彼は将来何が持ち上がるかについても掘り下げて考えようとしなかった。その時点での事実、値動きであった。」
ただしチャーティストではないとのちで述べられてます。ちなみに綿産業の基幹部分をしったところで、天候に左右されれば価格は変動します。
「相場は売買対象の現状を忠実に反映して動くものだとは思っていなかった。洞察力に優れた専門家にさえ読み切れない要因、将来的状況に基づき、変幻自在の動きをする。市場と言うのは基本的に筋のとお他理論に沿って動くものではなく、ほとんどの場合心理感情に左右される」
私も同じ認識です。ただし短期での動きに限ってはですが。
「株式相場のすべてを知っているとは思っていないことだった。市場と言うのは自ら動きたいと思う方向に動くのであって、外部の思惑や予想に沿って動くわけではない。」ソロスも同じで、人間は完ぺきな知識を持っていないということです。もちろん正しいことです。ただ「思惑や予想に沿って動くわけではない」というのは正しいにしても、ではどうやって投資で利益を上げるのかという疑問がある。一見もっともな考えを述べていると見えるが、実は肝心の答えが無い。彼の答えは相場全体の動きを見て打診買いをし、ロスカットをするということですが、私の意見を言わせていただければこれは、ほとんど運任せと言ってもいいでしょう。確かに将来はわからないと結論付けているのですから、そういう方法しか出てこないわけです。運任せであんな資産が気付けるのかと思う人がいるかもしれません。ですが、全世界の人がコイン投げをする話をご存じだろうか。あの話自体はバフェットの高いパフォーマンスに対する、理由として効率的市場仮説者が述べたことですが、その理論自体が間違っているわけではありませんし、バフェットも直接は否定はしていません。ただグレアムドッド村の住人に金持ちが集中することは何かあると考えたらどうかという意見です。もちろん偶然そういったことが起こることも考えられるわけですが。ちなみにこのトレンドフォーローも損切りの回数が増えないようにここぞというときのみにさえ絞れば、実際に利益を上げることはできると私も思います。ただ運任せに頼って自分の大事な資産を築こうという考えよりも、企業分析等の努力の末の資産形成のほうが価値があると思ったからです。「ベスレヘムスチール戦時に合って間違いのない、また一般投資家に人気のある銘柄。100ドルまであと2ドルと言うところで500株購入100ドル超えたら日が付くと予想した通り、すぐ114ドルまで上昇した。ここで信用買いによりさらに500株買いました。翌日145ドルを付けた。2,3日後に手じまいした。」
ブレーク買い、新高値で買いというのはマーケットの魔術師の一人が最近は通用しないと述べてます。もちろん広く知れ渡っているからです。まぁ個人に人気とか、戦時で鉄鋼需要があるからとか他の要因も重要なポイントかもしれませんが、実際に新高値で買いという単純なことを過去したことがありますが、儲かることはありませんでした。上がるか下がるか、ほぼ運です。ロスカットの幅を決め、何度もチャレンジしていれば、財産が築けることはあるかもしれませんが、微妙だしバカらしい。
「相場が進むのか退くのか、慎重にはかった」
どうやって?
「主導株の頭が押さえられ、方向転換を余儀なくされる時点で警告ランプが点灯したと解釈する。」
主導株って何?方向転換を余儀なくされる時点でどうやって判断するの?どういう動きが余儀なくされる時点なの?まず主導株についての説明は全くありません。おそらく値段の動きが激しいとか?率先して上がるとか?頻繁にニュースに出るとか?出来高が大きいとか?なのだろうか?また方向転換というが実際にやると、後にならなければ方向転換だったとわかることはない。経験の少ない人はおそらくこの文章で何か納得するんだろうが実際はそんなに甘くない。無論だからこそ10%の損切りルールがあるんだろう。
「12万株の売りは7週間もまえに建てられていたこと。」
和平交渉の噂で株価が急落し利益をえた際の話から。この話から10%のルール内であれば、実際に下落をする7週間も前から売り建て続けていることになる。決して短期売買を主体としているわけではない。他の方のレビューでは短期売買の人物と述べているがそれはバケットショップ時代のごく初期の話だけだ。
「帽子を何気なく見たんだがWAR(戦争)という文字があった。名前ウォーレン・オーガスタス・リードの頭文字なのだがこれにピンと来て売りを開始した。もともと少し売り建てていたが、そのときから本格的に売りを開始した。迷いはなかった。アメリカは完全に戦争に突入すると思った」
リバモアはこれで実際に利益を上げるわけですが、なんとも素晴らしい理由で売りを確信するものです。
「デュポンは二人の相場師が台頭できたのもたまたま戦時マーケットが存在したからだと見るかもしれない。デュポン一族は将来の多大な実りを見越して株を買い保有する。という家訓を貫いている。安値で手当てされた下部から巨万の富を得ている。一般投資家が目を付けるはるか以前に、これはと思う会社を見出し、株式を購入するのである。判断力に非常な自信を持っており、ひとたび買うと決めた銘柄については、相場調整による上下動等、全く意に介さない。一度手にした株はめったに手放さないといわれている。自分の判断がそうさせるからであって、これこそ真の投資というものだろう。」
ニューヨークタイムズの記事です。デュポンWikiはアメリカの財閥です。
「リバモアはフロイトを研究し、ユングの論著を読み漁った。」
確かに相場での心理状態というのは重要だと思います。マーケットの魔術師の中でも心理は重要な要素としてとらえられています。ですが、フロイトとかユングというのは現在では心理学の分野で評価が高くありません。科学的とは言えないからです。一応私は過去に大学に通っていたころ認知心理学という、情報工学と心理学の中間に位置する研究室に在籍していました。ユングやフロイトの本を読めば、相場に役立つかどうかは疑問です。
「仕手連中の標的にされ価格を下げていったとしてもその真の評価を知るインサイダーあるいは目先の利く投資家などが割安感にひかれ買い出動をするとすでに底を打っているのが普通である。自由市場では適正価格へのばねがつねに働いているのである。」
これはリバモアの考えなのか著者の考えなのかいまいちはっきりしません。ソロスは自由市場がこのような適正価格への自律的な反発力を持っているとは考えていません。しばしばまちがった方向へ大きく振れると述べています。またバフェットは株価は常に間違っていると考えています。さらには持ち株が半分の値段になっても動じるなと言っています。安いからと言って買うのは良いのですが、そこで必ずしも反発するとは思いこまないように。ばねは常には働いていません。
「リバモアはまた大きく値崩れした銘柄を常時中止し、その性格を分析しようとした。」
抽象的すぎてよくわかりません。
「逆に大きく上昇した後、勢いを失ったり、ボックスで動いている銘柄はやがて大きく下落する」
私の経験では必ずしもそうではありませんでした。
「同一業種内の株価は連動する。その中で株価が他と連動して上昇しない銘柄は売りのチャンス。ただし例外があって、主力株の出来高が、業種全体の50%を超える場合他の銘柄も遅かれ早かれ追随する」
株価重視の人ならこれでもよいのでしょうが、ファンダメンタリストでも業界内の優れた企業と悪い企業を見分ければ、株価の動きがなくても同じポジションは取れる。ただ実際に株価が動いていないというのは、やはり他のプレイヤーの心理面を考えてみると、より売りやすくはあると考えられる。
「堅調な業種を見つけた場合、その中でも最強の株つまり主力株に追随することを主義とした。割安株や一歩遅れて上昇する銘柄をあさるのではない。」
確かにこの場合はこれが正しいのかもしれない。市場では人気が付くと値段が上がり値段が上がると人気が付くという循環が見られる。ただし短期で勝負をするのであればということだが。実際に私はこういう方法をやったことはないのだが、どうもBNFとかcisとか言った人物は業種の強弱を見て動くらしい。一般人はたいてい日経平均しか見ない印象がある。しかしどの業種が強いとか弱いといったニュースは毎日あちこちで見られるが、本当にこのような方法で勝ち続けることができるのか少し疑問に思うが、そこはやはり人間の心理、欲望のようなものが左右して、株価は上昇し続けるのだろうか。ただしBNFはほぼ1日以内に手じまうらしい。確かに過去に行った検証では朝一で業種全体が強い場合、午後に向けて一段高をするパターンが多い気がする。
「業種の動向が株式市場全体の方向を決めるカギだと見極めていた。業種ごとの値動きを中止していれば、市場全体がどんな方向に向いているか理解することができると信じていた。それまで上昇していた業種が勢いを失い始めると全体も勢いを失う。」
よく意味がわかりません。値上がりする業種が多いと全体も上昇するといいたいのでしょうか?そもそもすべての業種を合わせたものが株式市場なのだから当たり前なんですが・・。業種全体を引っ張る主力株と言うのがあって、市場全体を引っ張る業種というのがあって、それらが変調をきたすと全体もきたすということらしいのです。疑問なのは、ではそれら主力が変調をきたしてから業種全体もしくは市場全体に売りを入れる時間的余裕はあるのでしょうか?即時連動していたら結局売りのタイミングを計るのに、主力銘柄の動きを予想しなくてはだめですよね。主力株がおかしいのにしばらく動き続ける株があるのでしょうか?それが新しい主力株とはみなされないのでしょうか?私自身こういう考えで市場を見たことがありませんのでよくわかりませんが、ニュース等ではよく、ソフトバンクが主力株だとか、むかしはジャスダックではインデックス?という銘柄が主力株と言われてましたが。
「強気相場で旗振り役をつとめた花形業種が次の大波のときにも主役を張るというケースはめったになかった。」
「一般投資家のこのいが安値外にあることを見抜いていた。なるべく安く買い、なるべく高く買うのが人間の自然の心理だと理解していた。一般投資家は数日前より安いと安値だと勘違いしていた。賢明なトレーダーは底値が確認されるまで待ち探りを入れた後に本格的な買いに入る。」
全く同感です。いわゆる逆張りともいうのですが、私も初期のころは逆張りスイングが正しいのだと信じ切っていました。もちろん実際にはさらに下がることがよくあるのです。株で利益を得るには安く買い高く売ることと誰もが思うことなのですが、その安いということが数日前の値段より安いだとか株価移動平均線からのマイナス乖離がでかくて売られ過ぎだとかということではないのです。これらは一般投資家が飛びつきたくなる典型的な過ちだと私は思います。ただ底値が確認されるまでというのがよくわかりません。いったいどうやって底値を確認するというのでしょうか?ピーターリンチも下落したからと言ってすぐに飛びつくのではなく底を確認してからということを述べていましたが、どうやって確認しているのか全く不明です。私自身は底を確認する必要は必ずしもないと思っています。バフェットもそんなことは気にしてません。十分に安いと自分が判断すれば買えばいいのです、そこからさがに下がろうとも目をつぶっていればいいだけのことです。底を当てることなど不可能です。もともと価格はミスターマーケットが付けています。真正面からミスターマーケットを相手にする必要はないでしょう。放っておけばよいのです。最後にあなたが勝者になるかどうかは、企業の分析能力のみに左右されているのです。マーケットの魔術師でも書かれていましたが、市場の動きを解明する必要はないのです。
「わたしには楽譜を目にした指揮者のようにあれが訴えかけてくることが100%わかるんだ、あの記号の一つ一つが意味を持ち、呼吸をし、ビートを内、リズムを奏で、光を放ち、全体が音楽になって私に迫ってくる。あのボードに示されている世界は確かな命を持ち、音楽のように私の心をとらえる。うんぬん・・・」
リバモアが息子に語った言葉です。株価ボードを指して言った言葉です。電波全開です。そう切り捨てていいものかと思われるかもしれませんが、実際こんな話を聞かされたところで市場で勝てるようにはならないでしょう。むしろ自分も同じような気持ちになって取引をして勝てるなどと思わないように。実際彼は不正によって利益を上げているわけですし、たった一度による大きな勝負による偶然的な勝利によってもたらされた利益がそのほとんどだった可能性もあり得ます。なんだかんだと言って大金が儲かれば自分は飛んでもなくすごい人物なのだと錯覚してしまうものです。
「1929年の大暴落について何ら特異なことはない。20年おき30年おきに起こるものである。純な一般投資家が参入し将来の夢を楽観的に絵がきだすにはこの程度の時間が必要になる。」
ジョン・ケネス・ガルプレイスの言葉です。今も毎年毎年こうした純で楽観的な一般投資家が参入します。世界中の人間がこの市場で利益を上げようと血眼になって努力していることも気づかず、自らの力のほどもわきまえていません。まぁ経験しなければわからない部分もあるのですが。 「買い戻しの期限が来ても下がらず、25万ドルがふいになった」
どうやら決済の期限を設けているようです。
「ギャンブラーにしろ相場師にしろ土台のルールを崩しちゃだめだなそれにルールを作るというか見つけるというかそこに至るまでにいいやと言うほど時間がかかる」
「リバーサルピボタルポイントで売り買いをする。このポイントは長期のトレンドの後にやってくる。同一業種内で2社以上の対象を選び、トレンドテストを行った。」
彼の具体的なシグナルです。出来高が上昇して天井圏で大幅に価格が上昇する、底値では下落する。よく聞くパターンですね。
「コンティニュエーションピボタルポイントはトレンドに乗る第二のポイントだ。」
リバーサルと似た動きですが、リバーサルの後トレンドが反転した後の一時的な反発です。この時が最も資金を投入する機会らしいです。
「ピボタルポイントを通過して5から10%上昇すると遅すぎる。」
「相場の動きが大きな流れを示すのは最終局面から2週間後だ」
最終局面とは大底、つまりピボタルポイントのことだろうか?
「最高値を付けながら引け近くになって前日の安値を下回る水準で引ける。同時にその日の出来高は前日の商いを上回る。これは危険信号である。」
「10%を超える損をしてはならない、なぜなら50%の損を取り戻すには100%の利益を得なければならないからだ。」
100万円→50万円→100万円。ちなみに1割損をして1割得をすると、100万円→90万円→99万円。1割得をして1割損をすると100万円→110円→99万円。元に戻るのではないのである。しかし、10%でロスカットするのと、しっかりした分析に基づく割安株を損切りせずに持つのとどちらがいいのだろうか?そもそも損切りルール自体はタイミングを得ようとする問題でしかないように思うのだが。そもそも10%下落したからと言ってさらに10%下落するとも限らないし。こういったルールはそもそも企業分析ができない、テクニカルでしか本質的な意味はないと思うが、ウィリアムオニールという人がファンダメンタル分析とチャート分析で高い成績を上げているのは知っている。
「内心の声、直感。観察してきた現象や事実の本質。無意識のシグナル値動きのパターンから導き出された潜在意識の声」
こういう抽象的なことばがよく出てくる。こういったものを元にして売買しているらしい。
「満足のいく利益がえられたなら、現金に換えておくべきだ。現金は弾倉の中の玉であり、備えあれば憂いなし。」
利益を伸ばせるだけ伸ばすべきという言葉と一見矛盾しているが私はどちらも大事だと思います。伸ばせるだけというのはむやみな悲観的なものの見方をして早めに利食いを入れるなということだ。マーケットの魔術師の中では恵まれていない人生を送っているものはこういう傾向に陥りやすいとあった。良い人生を送っている人はこういうところでも差が出るんですね。お金持ちになるには大きな利益を得なければなりません。ただ満足するべき利益というのも事前に考えておくべきでしょう。グレアムは市場平均の利益で満足するべきだと言いました。競争の世界では平均を超えるということは、平均以上の努力が必要ということになります。また自分の能力の限界を知り、線引きをするということでしょう。それを超えない範囲で投資をするべきであって、超えた途端利益が増えるどころが平均的な結果すら得られなくなると警告しています。
「自分の投資金がどこに行くか心配で夜も寝れないというのならば、心理的限界を超えている。規模を減らすべきだ」
全くその通りです。
「時事問題や経済ニュース、全米購買部協会指数、国際収支、消費者物価指数・失業率・戦争勃発のうわさといったものを含め各種の経済統計情報などをもとに先行きを予想とするのは愚かな試みだ。なぜならこれらの要因はすでに織り込み済みだからだ」
ソロスのスタイルを真正面から否定しているかのようにも見える。織り込み済みというのはどうかと思う。大衆もしくは彼の言うとおり、経済学者や専門家と、一部の本物の投資家とでは認識が違うと思う。これらの情報は織り込み済みという考え方は効率的市場仮説だが、リバモアも述べている人が完璧の知識を持っていないということと矛盾している。ソロスは事実と市場の矛盾に着目する。無論ソロス自信も間違えることはあるがトータルでは勝つような資金配分をする。
「ニュースは見ない。暗示を与えるからだ。」
完全に株価の動きを重視している発言。
「誰にでも理解できる明示的なトレンドは長続きしない」
トレンドの把握というのは案外簡単ではない。
「企業の経営幹部等というのは結局チアリーダー。つまりプラス面を明るく演出する。株主や競合他社にマイナス面を見せないようにしている。」
経営者は所有者である株主の利益のために動くべきだと思っている人がいる。確かにその通りであり、バフェットも重視している。有能なだけではなく正直者であるべきだと。しかし現実的にはそうではないことがほとんどであることを認識しておくべきだ。彼らは株主になるべく利益を与えないようにし、自分だけが儲かるようにする。ストックオプションなどはその典型だ。あなたが主要株主兼経営者になった場合を考えてみてほしい。誰もかれもが善意であなたを儲けさせようと思っているわけではないことを現実として受け止めるべきであり、自分の金は自分の知恵と知識と努力で守るべきである。
リバモアは晩年、家庭がうまくいかなくなりそこから売買もうまくいかなくなったそうです。精神的にダメになったからと言って、そんなにあっさりと売買がうまくいかなくなるものなのでしょうか??
「一般投資家は仕手グループの思惑が市場を動かしていると信じていた。」
今もそうです。
「リバモアは次のように述べた「一般大衆は、一部エリート・グループにはどんな銘柄であれ、その基本的な価値を大きく割り込むまで株価を押し下げる力があると思っている。そして彼らは、スーパー相場師、スーパー・ブローカー、スーパー資本家と逆方向に関心の目を向け、果敢に行動するものがいることに気づこうともしない。特定銘柄が必要以上に痛めつけられていはいないか、本来的に備わっている真の価値を割り込んでいないか、絶対的安値になっていないかどうか、自分の一切を欠けて見守っている連中がいるのだ。そしてここぞと思う時点でひそかに歩みを進め、値下がりした株の手当てに動き出す。そうした点に一般投資家は思いをはせようとしない。」」
株価の値動きだけに注目していたとは思えない彼の発言ですが一体いつの時点での発言なのでしょうか?わかりません。
「リバモアは1940年3月「株式を以下に売買するか」を出版した。しかし売れ行きは芳しくなかった。取引手法は独創的で新しかったため、誰にでも推薦される良書とはならなかった。当時の大物相場師の評価は二分していた。そして現在においても議論は激しく分かれ、評価は定まっていない。」
「ジェシーリバモア投資の鉄則。タイミング。金を失ってはならない。再起できないから。心理。実際に金をかける。自分の心理をテストする方法がほかにないからだ。中略。取引する銘柄数を限定する。集中できないからだ。新高値を買え、下がるものを買うな。ここの銘柄に性格がある、臆病、慎重、神経質、論理的etc・・。性格がわかればどういうときにどう反応するかわかる。中略。強気相場になると恐ろしいほど値上がりする株がある。PERが30倍40倍50倍60倍でも売れる、それ以前は拍子抜けするほど安い価格だったということも珍しくない。さしたる理由もなく人気株と言うだけで棒上げしていく銘柄があるので注意する。インサイダーが保有株を処分するのは上昇局面だと勘違いしがちだが実際はピークを付け下落局面に入りだしたときだ。中略。自分なりの取引手法に忠実に従うこと。やり方をころころ変えてはいけない。優れた相場師、投資家には少なくとも次の4拍子がそろっている冷静な観察力(あるがままの事実を先入観なしに観察し認める能力)・明晰な記憶力・優れた計数能力・独自の体験(過去の体験をうまく次の利益確保に生かしていける能力)。」
この投資鉄則にはかなり重複していることが何度も書かれていました。これをまとめた人のの能力を疑います。これら重複分はもちろん、本文で何度も触れたところ等はカットしました。
「経験上、上昇相場が続くうちに持ち株を売るのがベストと心得ていたP261」
先の投資の鉄則が本書のまとめですが、P261には全く別のことが書いていました。このように矛盾していることをさらりと書いてくるのも本書に対する懐疑的な思いを持たざるを得ません。本文中ではリバモアはプールを運用していてその資金を売る際には下落局面で売っていたと述べられています。プールというのはインサイダーから金を集めてその金を運用することです。インサイダーが自社の株を自由に売ったり買ったりするのはある程度制限されています。そこで、第3者に運用を任せるのです。今ではこのプールは違法。
最後にですが、アマゾンでの評価が私には不思議なぐらい高いです。トレンドフォローを知らない人には価値があったかもしれませんが、まず彼が違法な取引をして利益を上げていることには全く触れられていません。また精神的にどうなったにしろ最後にはすべてなくしました。彼が現在でも通用するかなどとは大いに疑問です。バケットショップという特殊な環境もありましたし。もちろんそこに着目して利益を上げれたことは鋭いといえるかもしれませんが。後期には意図的ではなかったにしろリバモアの名前を使用して株価の上下に乗りました。あとプレミアが付く本等と言ってますが、出版数が少なくてある程度価値の本であればプレミア付いたりはするでしょう。そういったことが広まって本の価値が高いと感じたのではないでしょうか?同じ相場師なら是川銀蔵の「相場師一代」ほうが意外感もあったし、よりドラマチックに感じましたよ。感想少ないですけど。

人生と財産 私の財産告白 本多 静六

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投資が本業の方ではありません。時代も結構古いです。何か聞いたことがあるような格言のような言葉がいくつかでてきます。
「幹線鉄道と山林に投資するべき。支線が増えるたびに利益が増えるし、山林は鉄道幹線が伸びることによって価値が上がるから。とドイツの人にアドバイスを受けた。」しかも本多さんの本業は林業で学者です。
「戦争特需で木材の価格が上がった。木材を売って儲けた。」
「投機ではない、思惑では行かん、あくまで堅実な投資でなければならない。」
「時節を待つ。あせらず、怠らず、時の句足るを待つ。投資成功には特にこのことが必要である。」
「好景気時代には勤倹貯蓄を、不景気時代には思い切った投資を。」
「貧すれば鈍するが、鈍すればまた貧する。」
「たとえ少しでもプラスになっていくそろばんは軽く動くものである。われながら驚くようないい知恵もはじき出せるものである。一度そこまで来ればもうしめたもので世の中が何から何まで面白く、自然と正直に立ちまわれ、ますます努力の勇気が生まれてくるのである。」 「正直に働き。正直に貯め、倹約につとめて生活的に多少なりとも余裕を作ってきた人は悪事に走ることは絶対にない。」
「実力相当な進み方をしていればよいのに資産不相応な融資をしたり無理な投資をしたり己の器以上に大きな仕事や不慣れな事業に手を染めたりとにかくいたずらに成功を焦ったり、堅実を欠くにいたった人たちが失敗に帰しているのである。」
みなさん急激にお金を増やした方に注目されますが、たいてい信用取引をしています。急激に資金を増やすこともできますが、しばらくするとほぼ例外なく急速に資金を減らしています。ほぼ私には原因は分かっているのですが、資金が早く増えるというのは重要なことではありますが、単に信用による一時的な高パフォーマンスは長くは続きません。ですから必ずしもその人の長期的な実力を表しているとは言えません。ご注意ください。単に資産が急激に増えたり減ったりしているだけです。まれというかほとんど?の方がコントロールを失い破産します。
「人より頭を働かせて、人より倹約をしなければならない。ことに時代の思潮の動きをよく察知して、その時々の法制、特に事業法規や税制、労働法の変化に注意し、臨機応変の処置を取っていかねばならぬ。」
「私が有望株に投資したり、土地、山林に目を付けたのは日清戦争直後の日本経済の上昇期のことであって、バカでも株や山林を買っておけば成金になりえた時代である。いってみれば私は運がよかったのである。しかもその同時代になんとその馬鹿が極めて少なかったことよである。」
「失敗にとらわれるな。七転び八起き。失敗の教訓を生かすか生かさないかはその人の大いなる試金石であって、一度や二度の失敗で、すっかり投資を失ってしまって、弱音を吐くようではもうおしまいである。」
「利己本位に事業を始めたり投資をすれば、ゆくゆく必ず関係者と利害の衝突をきたしてついに破たんを招く。孔子様の言葉、利によりて行うときは怨多しである。」
「自分ひとりなにも間違っておらぬつもりで-事実また決して間違っておらなくとも-あまりに確信に満ちた態度で押し通しすぎるとえてして周囲の反感を招きやすい。あいつ生意気なということになりやすい。人間もあいつ生意気なといわれるほどまでになれば、ある意味ではもうしめたものであるが、調子に乗り過ぎるととんだつまずきになる。」
「いかなる場合、いかなる職務でも自分にその実力さえあれば、与えられた当然の地位は完全として引きうけるべし。大いに働き大いに努めるには仕事上の遠慮は一切無用である。偽善的な謙遜はつまらぬ。」
「校長をしていた江原素六翁が寄宿舎の窓から捨てられたゴミをニコニコしながら拾っていた。生徒はそれを見てゴミを投げないようになった。それを聞いた私は同じようにまねをしたが同じ結果にはならなかった。江原翁は全く慈愛の心からゴミを拾って歩かれたのであるが、私は実はむかっ腹を立てつつ、拾っていたのだ。」
「人間の成不成はすべての物を時勢と境遇に応じて生かす努力にあるのであって、学問と経験はいつも尊いその基盤となるものである。」
「人生最大幸福は職業の道楽かにある。その仕事に全身全力を打ちこんでかかり、日々のお勤めが面白くてたまらぬというところまで来ればよい。」
「仕事に追われないで、仕事を追う。つまり天才が一時間でやるところを三時間やって追い越すことである。」
「一時的に一ヵ所に向けられた、ひたむきな努力が大切であって、精力の二分三分は厳に戒められなければならない。」
「人生努力、努力即幸福。これが私の体験社会学の最終結論である。」
私は努力できること自体が幸せなことだと思っています。いずれ努力したくてもできなくなる時が来るでしょう。その時になってからではもう遅いのです・・。
「自己の能力と考え合わせ、高からず、低からず、まず実行可能な範囲に組み立てられてゆかねばなるまい、目標の高すぎるのも困るが、低すぎるのもなおさら感服できない。最大の努力を持って購い得る、最大可能な計画を立てることが望ましい。それでこそ真に生きがいのある人生が味わえるというものだ。この計画には必ず向上心の満足が盛り込まれていなければならぬ。いわゆる人生計画は努力の予定表なのである。計画を完全に予定し実行し得たときいかなる実益をもたらすのだろうか。無駄がなく、無理がなく、仕事の出来高が増え、質も良くなること。時間と労力が節約される。常に前途に希望を持ち、現在に安堵をしえて、焦慮と苦悩と疲労から免ぜられ、余裕ある生活を送りえること。可及的速やかに成功し健康長寿、福徳円満に一生を過ごし得られること。その他いろいろある。計画がただしいか同課によってその人間の価値が決定されるほど、重大な意義を持っている。立派な計画を立ててわが生涯をもっとも意義あらしめねばならぬ。」
「人生計画に必須の五大要素1.正しい科学的人生観に徹すること。2.どこまでも明るい希望を持つこと。3.なるべく遠大な計画を立てること。高遠雄大な希望を抱いて前途の大方針を仰ぎ、伏して心を静め、自身の足元をみつめて、現在の実力、境遇に応じ、順次下方より確実な一歩一歩をまじめに築きあげていくこと。4.人生計画はあせらず、やすまず、怠らず、日にあらたなる努力精進をもって、終局において必ず大成するよう拙速、僥倖、場当たり、投機などの危険をいささかも含めぬこと。5.人間は所詮時代の児であるから、計画も務めて、科学的な進歩と社会発展の線に沿わしめること。」
「一日、二〇年、それ以上という実行予定が体系づけられてしまえば、後は情熱と努力の原動力さえあれば進路を踏み外す憂いもない。日々その予定を実践し続けることにより、間違いなく目的の彼岸に達し得るとの予想は日常生活をこの上なく張り合いのあるものとする。最初は意識的な努力を必要とする。しかしそれが着実に実行されていくとき、いよいよ自身もうまれ、あらたなる工夫も積まれ、計画の遂行それ自体が面白くてならなくなってくる。偉人の大業にしても、秀吉でも、家康でも、近代における大実業家書士でも必ず高度な計画性の活用のあったことが見出されるのである。」
「計画実現に望ましい生活態度、処世9則。常に心を快活にすること。忙しければ忙しいほど仕事がたくさんできると喜び日々健康に日々愉快に働ける自分自身に感謝している。病気でもするようなことがあれば、久しぶりで休息の時間を与えられたと感謝しつつ全開後の活動に対する準備計画を立てる。遠慮や負け惜しみ、きまりがわるいとか億劫だとか言うことは大禁物である。何事も無邪気に気取らず、てらわず、正直に知らないこと、迷うことはすべて率直に問うべき人に問うようにしたい。これが常に向上の基礎となり安心の礎となる。(中略)善を称し、悪を問わないこと。(中略)真の成功には速成もなければ裏道もない。あせらず怠らず、長い道を辛抱強く進むしかない。大いなる人生の歩みには乗り遅れを心配しなければならぬようなバスもなければ、また向こうから声をかけて止まってくれるようなタクシーもないのである。」
「恋愛の神秘も歓喜も実は結婚前の純愛純情にあるのであって、結婚および結婚以後の夫婦生活には望めないと考えられる。(中略)人生は所詮山中や離れ小島で孤独生活が営めるわけのものではなく、いくら恋愛の俗悪化であるといっても、家庭生活を避けて、生涯の孤独生活を取るべきではない。結婚の最大幸福は互いに初婚であることに限る。」
「家庭内における尋常茶飯の難問題は、難問題まで行かないようにして、じゃん憲法であっさり決めてかかる。」
「仕事の大きな手落ちはあわてて片付けようとする際にのみ起きるようだ。」
「世の中のこと、それかといって、底抜けの悲観ばかりでも始まらないではないか。聖人のいわゆる中庸を選び、中道を行くことが難しいとすれば、むしろすべてを楽観主義で押し通していきたい。」
「虚心坦懐、素直な心を持ってそれを素直に受け入れることであろう。単なるあきらめであってはならない。何人も死に直面しては、もはや富も、権力も、栄も、虚栄もない。ここにただあるものは死の厳然たる事実のみで、ここに精神道徳の世界が全面的に繰り広げられ、ここに人間完成の最後の光輝が燦然と照り輝くのである。たとえ生命の容器である肉体は死滅しても、わが精神は私一代の業績や著述談話などによって長く後世に生き残ることを確信している。生きられるだけ生き、日に新たなる努力を楽しみつつ、世のため人のために働き、願わくば朽ちざる事績の墓標の下に眠り、知られる名に残り、伝わる精神に生きたいと念じているのである。」
「どうか読者諸君も誤解のないように願いたい。百二十を目標に立てた人生計画は百二十まで生きなければ未完成ということではない。立派にこれを生かし、遺憾なく充実を期することができる。いつどこで打ち切りになっても悔いるものがない。人生即努力、努力即幸福、これは人生の長短に関わりなく絶対だ。私はこの際、とくにこのことに念を押しておきたいと思う。」

マルクス『資本論』入門

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読書術といった本を読んでいますと良くでてくる本に「資本論」があり、どういったものなのかと興味を抱いたため読みました。いろんな著者による資本論の概要(入門とは少し違うと思います)が書かれていました。著者によっては読みにくい内容があり、初心者にはあまり良い本とは思えませんでした。しかし今の社会の理解の手助けになりましたし、資本家にならなければお金に不自由するということも理解できました。そういう意味では金持ち父さん貧乏父さんのような投資の大事さを理解させてくれる本の一つだと思います。ですが直接どういう企業に投資すべきかといったことを得られるものではありません。一番感心したのは価値が労働によってのみ生み出されているということでした。

IT・ネット業界地図 (「会社四季報」図解シリーズ)

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「アップル、楽天、グーグルなど注目企業10社を分析」とあるが、楽天の成長力ランクが「B」でヤフーの成長力ランクも「B」とありましたが楽天とヤフーとでは投資家からみた価値は天と地ほどの差があります。

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